株式会社きよかわ動物病院

猫の口臭がひどい時に考えられる原因と対処法

猫の口臭がひどい時に考えられる原因と対処法

猫の口臭がひどい場合

2022/02/12

猫の口臭がいつもよりきつい。

何でこんなにクサいの? うちの猫ちゃんどうしちゃったのかしら……?

猫の突然の症状に驚いてしまう人も少なくないと思います。

ここでは、猫の口臭の原因や対策・予防法などを紹介。

猫の口のニオイが気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

    猫の口臭がひどい原因

    顔を近づけた時に猫の口臭が気になる場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。 

    代表的な原因は、ケア不足や病気、乾燥、食べた物などです。それぞれについて解説します。 

     

    歯のケアが不十分

    真っ先に疑いたいのが、歯磨き不足など、不十分なデンタルケアについてです。特に普段から全くデンタルケアをしていないようなケースでは口の中が不衛生な状態になり、口臭に繋がっている可能性が考えられます。 

    猫は歯磨きを嫌がることが多いです。デンタルケアをしなければならないことはわかっているものの、なかなかできていない飼い主の方も多いのではないでしょうか。 

    ですが、人間と同じように、猫も適切なデンタルケアをしなければ口腔内のトラブルが発生したり、病気にかかったりする可能性があります。中には大きな健康被害を引き起こすような病気もあるのです。 

    「歯磨きさせてくれないからしない」ではなく、適切にデンタルケアができるように工夫していきましょう。 

     

    口内の病気

    ただ口の中が不衛生になって嫌な臭いがしているのではなく、病気が原因で口臭が発生しているケースもあります。 

    例えば、炎症です。食べかすが原因で口の中に歯垢が蓄積すると、その中に含まれている細菌が口の中の炎症を引き起こしてしまうこともあるのです。 

     

    歯肉炎と呼ばれるトラブルが発生した場合、口臭以外にも歯茎が赤く腫れるなどの症状が現れるようになります。歯肉炎が進行してしまった場合、歯周炎になり、症状が悪化すると歯が抜けてしまうケースも珍しくありません。 

     

    歯は健康的に食事をするためにも重要なものです。猫の口臭がきつくなったと感じているのであれば、口内の病気を疑ってみてください。普段から口の中を確認することは少なく、気づくのが遅れてしまうことも多いです。定期的に確認してみることをおすすめします。 

     

    乾燥

    口の中が乾燥すると、口臭がひどくなることがあります。一時的な場合もあれば、人間と同じように日常的に口の中が乾くドライマウスの可能性も高いです。ドライマウスになると口の中が乾燥し、歯周病などの病原菌が繁殖して臭いの原因になってしまいます。 

    猫はそれほど多くの水を飲まなくても生きていけるため、なかなか積極的に水を飲まない子も多いです。そのため、口の中が乾燥しやすく、口臭に繋がってしまうこともあります。 

     

    食べ物の臭い

    人間と同じように、食べたものが原因で一時的に口臭がひどくなることがあります。臭いのきついものを食べたあとに口臭を感じる場合は、それほど心配はいらないでしょう。 

    ただ、食べ物の臭いなのか、それ以外の原因が関係しているのか判断できないようなケースもあります。猫の口臭を確認する際には、直前に何を食べたのか確認し、臭いがきついものを食べた以外のタイミングでチェックしてみるのがおすすめです。タイミングを変えて何度かチェックしてみてください。 

    猫の口臭がひどい時考えられる病気

    口臭の原因として、病気が関係しているケースも考えられます。そこで、猫の口臭に繋がりやすい代表的な病気と、どのような症状が見られるのかなどについてご紹介しましょう。 

     

    1.歯周病

    歯周病とは、歯肉炎と歯周炎の総称のことです。 

    歯垢の中に含まれている細菌が原因となり、炎症を起こします。歯周病は珍しいものではなく、3歳以上になると、多くの猫が歯周病にかかっているとも言われるほどです。 

     

    口臭がひどくなるほか、歯茎からの出血や、ものがうまく食べられないなどの症状が見られるようになります。重症化した場合は顔の皮膚に穴があいたり、歯が抜け落ちてしまったりすることもあるので、早めに治療に取り組みましょう。 

     

    人間の場合も口の中に食べかすが残っていると歯垢が作られて、頑固な歯石に変化します。猫はこの歯垢が歯石になるまでのスピードがとても早いです。 

    歯石には歯垢が付きやすくなるため、できる限り歯垢の段階で除去することが重要といえます。 

    関連記事>>猫の歯石の原因と対処法

     

    2.口内炎

    口内炎は、口腔内にいる細菌が粘膜の炎症を引き起こし、痛みが発生しているような状態です。口臭がきつくなるだけでなく、状態が悪化すると口からの出血や、ヨダレなどが見られます。痛みがあることから食事をうまく取れなくなったり、食事する際に奇声を発したりすることも多いです。 

    口の中の一部のみに炎症が発生するケースもあれば、口腔内全域に症状が及んでしまうような重度のものもあります。 

     

    頬の内側や歯肉などが真っ赤にただれていないか確認してみましょう。詳しい原因はまだわかっていないのですが、感染症や歯周病が原因で発生するほか、免疫力の低下が関係しているようなケースが多いです。 

     

    3.口腔内腫瘍

    猫の口の中にしこりがある場合、口腔内腫瘍の可能性が疑われます。 

    悪性腫瘍として挙げられるのは、メラノーマ(悪性黒色腫)や線維肉腫、扁平上皮癌などです。 

    発生している腫瘍が悪性のものだった場合、激しい痛みを引き起こすこともあります。 

    また、良性の腫瘍だったとしても放置したものが大きくなり、周囲を圧迫したり、機能障害を引き起こしたりする可能性があります。いずれの場合も、早い段階で獣医に相談した方が良いです。 

    猫の口の中にできるしこりの多くは悪性腫瘍とされています。また、進行のスピードも速いため、気になるしこりを見つけた場合は早期の相談が必要になります。 

    関連記事>>猫の口の中のできものの原因・治療法

     

    4.糖尿病

    食べ過ぎや運動不足のほか、肥満、膵炎からの併発などが原因で発症することがあるのが糖尿病です。糖尿病は、血糖を細胞に取り込むインスリンと呼ばれるホルモンが十分に作られなくなったり、うまく働かなかったりするために血糖値が高くなる病気です。 

    大きな原因は偏った食事や運動不足にあるとされています。 

     

    糖尿病になった場合、口臭が強くなってしまうことがあるほか、水を飲む回数や飲む水の量が増えるのが特徴です。尿の量が増えたことにより、普段より水を飲んでいると気づくこともあります。 

    初期のうちは食欲が旺盛になることが多いです。しかし、症状が悪化した場合は食欲不振に繋がることがあり、痩せていくことがあります。 

     

    5.腎機能不全

    腎臓の機能障害が起こっている場合、本来は尿として体外に排出される毒素が体内に蓄積されてしまい、口臭に繋がることがあります。 

     

    代表的な原因は腎臓病で、急性のものと慢性のものがあります。 

    急性腎臓病は死に至ってしまうこともあるため、救急管理しなければなりません。一方、慢性腎臓病は少しずつ機能低下がみられる病気です。悪くなった腎臓は戻らないので、できるだけ早期の段階での治療が重要とされています。 

     

    6.肝機能不全

    肝臓の機能障害が起こると、腎臓の機能障害と同じく体内に毒素がたまり、口臭が発生することがあります。肝臓はビタミンやミネラルを貯蔵する役割もあるため、トラブルが起こるとさまざまな病気を引き起こすリスクが高いです。 

     

    臓病などが大きな原因で、急性のものと慢性のものがあります。年齢のほか、猫種、肥満などが原因とされており、口臭のほかに下痢や嘔吐、食欲不振、体重減少などの症状が見られることも多いです。 

     

    7.重度の便秘

    便秘の状態がひどくなると、口臭が起こることがあります。猫は便秘になりやすいとされており、かなり重い便秘になってしまった場合には自力で排便できなくなってしまう可能性も高いです。 

    水分不足やストレス、運動不足などの原因が考えられますが、はっきりとした原因がわからないこともあります。明らかに便の量が減っていると感じるのであれば、重度の便秘の可能性を疑い、早い段階で一度獣医に相談した方が良いでしょう。 

     

    8.腸閉塞

    腸閉塞とは、腸が完全にふさがっていたり、内容物による通過障害が起こったりしている状態です。身体の中に食べたものが溜まっている状態なってしまいます。また、水も飲み込めず、一度飲んだとしてもすべて吐いてしまいます。 

    完全に腸がふさがっていなければ少量の食事をとることは可能ですが、治療を急いだ方が良いです。いつもは元気なのに何度も嘔吐するなどの症状が見られた場合は腸閉塞などの可能性を疑い、獣医に診てもらってください。 

     

    猫のひどい口臭の予防策

    猫からひどい口臭がする場合、その原因に合わせて適切な対処が必要です。できる限り口臭を予防するためにはどのような方法があるのかについて解説します。日常的に行いたいことについてもまとめました。 

     

    日頃から口内のチェックをする

    口内に何らかのトラブルが発生していないかチェックする習慣をつけましょう。例えば、歯垢や歯石が溜まっている場合、適切なデンタルケアができていない可能性が疑われます。 

    他にも炎症やただれなどの症状が発生していないか確認しておくことをおすすめします。 

    病気の中には普段からよくチェックできていれば早期に気づけるものが多いです。自分で痛みや不調を訴えられない猫のため、しっかり確認してみてください。 

     

    歯磨きを習慣化する

    猫の口腔内で発生する病気は、普段きちんとデンタルケアができていれば防げるものが多いです。そのため、できる限り歯磨きを習慣化しましょう。毎日の歯磨きを習慣にすることにより、口臭がきつくなるのを予防できます。 

    指に巻き付けて使う歯磨きシートや、デンタルケアに役立つようなおやつやサプリメントを取り入れるのも良いでしょう。 

     

    慣れないうちは抵抗する子が多いです。だからといって適切にデンタルケアができていないとご紹介してきたような病気のリスクを高めてしまいます。猫の健康のことを考えても必要なケアであるため、少しずつ慣らしていくことが重要です。きちんと歯磨きできた時は思いっきり褒めてあげましょう。 

    関連記事>>猫の歯茎の腫れの原因や治療法

     

    水分補給をしっかりする

    口の中が乾燥してしまった場合、細菌が繁殖しやすくなるので、水分補給をしっかり行うことが重要です。ただ、猫はもともとあまり水を飲まない生き物なので、水を用意していてもなかなか飲んでくれないことがあります。このような場合は、飼い主の工夫が必要です。 

     

    例えば、猫がリラックスして水を飲めるように水飲み場の場所を変えてみるのも良いでしょう。水道から落ちる水が好きなら、ノズル式の給水器を設置してみるのもおすすめです 

    また、水分補給ができるエサもあるので、そういったものを選択する方法もあります。 

    もちろん、常に清潔な水を飲めるように毎日新しいものに交換することも必要です。 

     

    水を替える際にどの程度減っているかで水分補給量を確認してみてください。 

     

    病院で定期健診を受ける

    普段から慎重に猫の様子を確認していたとしても、なかなか変化に気づけないことがあります。そのため、病院で定期検診を受けることも欠かせません。 

     

    専門的な検査を受けることによって飼い主が気付けないような病気を発見できます。 

    猫は自分の不調を隠すのが非常に得意な生き物なので、いつもと変わらないからといって安心はできません。 

     

    その中でも、口臭は飼い主が気づきやすいトラブルや病気のサインでもあります。ひどい口臭を感じているのであれば一時的なものであると判断するのではなく、病気などの不調が隠れている可能性も疑ってみてください。定期健診を受けることによって病気などのトラブルにいち早く気づき、早期治療にもつなげられます。 

    猫のヨダレや口臭の原因・対処法等

    こちらの記事では、猫のヨダレや口臭の原因、病気、対処法、予防法について解説します。

    猫がヨダレを垂らしている……!

    猫はあまりヨダレを出さない動物なので、単なる空腹時のサインならいいですが、それ以外の病気の可能性も検討することが重要です。

    「猫がヨダレを垂らしている!!」と不安な方は、ぜひ参考にしてください。

    猫のヨダレや口臭の原因・対処法等

    猫のひどい口臭について、気軽に獣医に相談しよう

    猫の口臭の原因や考えられる病気、対策・予防法についてお伝えしました。

    ある日突然猫ちゃんの口が臭くなっていたらショックですよね……。

    でもそれは重大な病気の前触れかもしれません。

    この段階で放置してしまうと、のちのち恐ろしい事態を引き起こしてしまうかも。

    「いつもと口のニオイが違う」と感じたら、なるべく早めに獣医に診てもらいましょう。

     

    きよかわ動物病院では、清潔な院内環境のもと、ペット一匹一匹に合った適切な処置を心がけております。
    ペットの生活習慣や些細な悩みについての相談も受け付けておりますので、木更津のきよかわ動物病院へご連絡ください。

    執筆者プロフィール

    陣座 孝聡 / Takatoshi Zinza

    獣医師 / きよかわ動物病院院長

     

    • 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業

     

    略歴

    • 2002年 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
    • 2002~2005年 千葉県君津市内の病院にて勤務
    • 2005~2014年 全国展開のグループ病院にて静岡、首都圏の病院を中心として合計3病院の分院長を務める。
    • 2014年~   千葉県木更津市にきよかわ動物病院を開業

     

    プロフィールページへ

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。