株式会社きよかわ動物病院

犬の子宮蓄膿症の症状・原因・治療法・予防法

犬の子宮蓄膿症について

犬の子宮蓄膿症について

2021/06/16

「なんか最近飼い犬が元気がない」、「陰部をしきりにペロペロとなめている」などの症状が見られる場合、疑われるのが子宮蓄膿症。

犬を飼い始めたばかりの人などは聞いたことがないかもしれません。

犬にとって、子宮蓄膿症は命にかかわる重大な病気。

「もっと早めに手を打っておけばよかった……!」と後悔しないよう、今から症状や原因、予防法などを勉強しておきましょう!

目次

    子宮蓄膿症とは

    犬の子宮蓄膿症とは、細菌感染により子宮内に膿(うみ)がたまってしまう病気のこと。

    犬の場合、発情終了から3カ月以内の発情休止期に発症しやすく、若くても罹患することもありますが、通常は5歳以降、とくに出産経験のない高齢犬によく見られます。

    子宮蓄膿症になぜかかりやすいのか

    黄体ホルモン(注:細菌感染を拡大させてしまうホルモン)が受精卵を着床させるため子宮粘膜を肥厚させるのですが、人間の場合と違って犬には生理がなく、たとえ妊娠しなかったとしても、そのまま子宮粘膜が分厚いままとなってしまいます。

    その分、細菌感染が起こりやすく、子宮蓄膿症にかかりやすいのです。

    そのため、発情期をたくさん経験した高齢の犬ほど、罹患しやすい傾向にあります。

    子宮蓄膿症の症状

    以下の症状が見られるときは、子宮蓄膿症を疑ってください。

    〇陰部から膿や血膿が出ている

    〇陰部の腫れ

    〇発情出血の長期化

    〇多飲多尿

    〇発熱

    〇嘔吐や下痢

    〇腹部膨満

    〇元気や食欲の低下

    最初は目立った症状はなく、少し元気がない、食欲がないといった程度の変化しか見られないかもしれません。

    とくに高齢の場合、「年のせいかも?」と見逃してしまいがち。

    膿が排出されない「閉鎖型」は、さらに病気であることに気づきづらく、犬自身も進行するまで分かりません。

    しかし手遅れになると、多臓器不全や敗血症などになってしまう危険性も。

    進行すると、全身性炎症症候群(SIRS)や播種性血管内凝固(DIC)を起こすこともあります。

    子宮がお腹のなかで破裂すると急性腹膜炎を発症し、すぐさま死に至ります。

    上記のとおり、発情終了3カ月以内の発情休止期に発症しやすいため、その期間に何らかの症状が認められたら、早めにお医者さんに診てもらいましょう。

    子宮蓄膿症になる原因

    子宮内部の子宮粘膜にて細菌感染が生じています。

    通常、子宮内に細菌が侵入しても、正常な粘膜の免疫作用によって感染には至りません。

    しかし、発情後などでエストラジオールやプロゲステロンなどの女性ホルモンの影響を受け、子宮粘膜が増殖・分厚くなると感染症を起こしやすくなります。

    子宮蓄膿症の検査法

    レントゲン検査・問診・身体検査・超音波エコー検査・血液検査があります。これらの検査のように全身を検査することが大切になってきます。

    子宮蓄膿症の治療法

    一般的には、まず外科手術にて子宮・卵巣を除去し、その後、抗生剤を投与する治療を行います。

    早期発見の場合、避妊手術と手術時間や回復期間等もさほど変わりません。

    そのため、早く病気を見つけることが大切です。

    逆に、発見が遅れると、手術にも危険が伴い、命が助からないケースも出てきます。

    そのほかにも、年齢や身体の状態などを加味して、内科治療を選ぶ飼い主さんもいます。

    例えば、黄体ホルモンの働きを抑えるアグレプリストン(商品名:Alizin<アリジン>、ビルバック)の使用などが欧米を中心に広まっています。

    しかし日本ではこの薬剤は承認されておらず、独自に海外から調達している動物病院もあります。

    ただし、完治させるには外科手術のほうが有効です。

    薬剤を使っての治療は効果が薄かったり、治るまで時間がかかったり、再発の可能性があったりするなどデメリットもあります。

    あくまでも補助的なものだととらえておいたほうがいいでしょう。

    子宮蓄膿症の予防法

    子宮蓄膿症は避妊手術を受けることで回避できます。

    子宮蓄膿症以外に、乳腺腫瘍の予防にも避妊手術は効果的です。

    高齢の犬が病気になってから手術を受けるよりも、若くて元気なときに避妊手術を受けさせた方が犬にとってもいいです。

    たとえ妊娠する可能性がなかったとしても、妊娠の予定がない犬には積極的に避妊手術を行いましょう。

    犬の陰部が腫れている原因と対処法

    こちらの記事では、犬の陰部が腫れているときの原因や対処法をお伝えします。

    犬の陰部が赤く腫れている。何か病気だろうか。元気そうにも見えるけど……。

    そんな不安を抱えている飼い主さんもいると思います。

    詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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    避妊手術をおすすめ

    犬の子宮蓄膿症についてお伝えしました。

    犬にとって、子宮蓄膿症は命にかかわる重大な病気。

    とくに出産経験のない高齢の犬は注意が必要です。

    「子宮蓄膿症にかかってほしくない」と思ったら、速やかに避妊手術を受けさせましょう。

    きよかわ動物病院では、清潔な院内環境のもと、ペット一匹一匹に合った適切な処置を心がけております。
    ペットの生活習慣や些細な悩みについての相談も受け付けておりますので、木更津のきよかわ動物病院へご連絡ください。

    執筆者プロフィール

    陣座 孝聡 / Takatoshi Zinza

    獣医師 / きよかわ動物病院院長

     

    • 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業

     

    略歴

    • 2002年 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
    • 2002~2005年 千葉県君津市内の病院にて勤務
    • 2005~2014年 全国展開のグループ病院にて静岡、首都圏の病院を中心として合計3病院の分院長を務める。
    • 2014年~   千葉県木更津市にきよかわ動物病院を開業

     

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