猫の噛み癖について
2021/08/21
可愛くてずっとかまってあげたくなる猫。
飼い主さんからしてみれば、愛情たっぷりに育てているはずなのに、なぜか急にがぶりと噛まれ「痛いっ!」という思いをしたことがある人もいるでしょう。
なぜ猫は噛みつくのか。噛みつかれたときの対処法は?
ここでは、猫が噛みつく理由などについてお伝えします。
目次
猫が噛む理由
猫が噛む主な4つの理由を紹介します。
1.歯がかゆいため
生後6カ月未満の子猫の場合、歯がかゆくなって噛んでしまうことも。
このケースでは、乳歯から永久歯へと生え変わると同時に、自然と噛み癖も治ります。
フェルトやヘチマなど、子猫が噛んでも問題ないおもちゃを渡すなどして対応しましょう。
2.触り過ぎて不快に感じている
甘噛みは猫が甘えるときに出る愛情表現ですが、ストレスや不快感を覚えているときにも行われることがあります。
撫でている時間が長過ぎたり、撫で方が気に入らなかったりと噛みつき理由はさまざま。
はじめのうちは気持ちよさそうにしていても、やり過ぎてしまうとストレスに感じてしまうことも多くあります。
また猫は長時間の拘束されることを嫌がる傾向が強い動物です。
そのため、爪切りやブラッシング、歯磨きをしている際にガブッと噛みついてくる場合も。
猫が嫌がっていそうなときは、いったんお休みをすることも大切です。
猫が不快に感じているときのサインとして「イカ耳」という耳を伏せる行為や瞳孔が開くことなどがあります。
それらのサインを見逃さないように、猫の行動や様子をよく観察し、気持ちを理解しましょう。
3.遊び足りない
退屈に感じたり、要求を通したかったりするときに噛んでしまうこともよくあります。
猫は自由奔放な性格である一方、寂しさも感じやすい性質を持つ動物です。
「遊んで欲しい」、「かまってもらいたい」といった満たされない気持ちを噛むことで表現するのです。
しかし「噛んだら遊んでもらえた」という成功体験を覚えてしまうことで、遊ぶたびに噛み癖がついてしまう猫も少なくありません。
猫が寂しくならないような環境を整えて安心感を与えることで、噛み癖も治っていくことでしょう。
また遊びたい盛りの猫は、猫が持つ狩猟本能を発揮してかぶりと噛んでしまう猫も多くいます。
特に、子猫のときから、手遊びをしていた猫の場合は手を遊び道具と勘違いしてしまっている場合もあります。
猫じゃらしのような遊び道具の感覚でガブッと噛みついてしまうのです。
そのため、猫が小さなときから道具を使って遊ぶ習慣をつけておきましょう。
4.甘えたい
噛む行為は怒りや嫌悪感のサインのように思われがちですが、必ずしもそうではありません。
特に小さな猫の甘噛みは甘えたいサインであることも多いのです。
母猫のおっぱいを吸う「吸い付き本能」の延長として甘噛みが癖になってしまうケースもあります。
卒乳や離乳のタイミングが早過ぎると、甘える際に甘噛みをする傾向が強くなります。
しかし、大きくなるにつれて甘噛みも痛みを伴うようになってしまいます。
あまりにも強く噛み過ぎている場合は「やめて欲しい」や「痛い」という意思表示をして、適度な力加減を教えてあげるようにしましょう。
5.かまって欲しい
日常に遊びの時間が足りずにストレスを抱えてしまっている猫も少なくありません。
飼い主にかまってもらえないと、自分の存在に気づいてほしいという思いから強く噛んでしまうことがあります。
この場合は、叱りつけることは逆効果になってしまうことも。
噛めばかまってもらえると勘違いしてしまい、噛む行為が定着してしまうからです。
飼い主の気を引くために噛まれているなと感じた場合は、噛まれたら猫から離れて相手にしないことが重要です。
噛んだら相手をしてもらえないと覚えることで、噛み癖が治るようになるでしょう。
そして噛み癖をなくすためには、普段から遊ぶ習慣をつけることが大切です。
1日数回、一緒に遊んで楽しむ時間を持つようにしましょう。
1回の時間を長く取るのではなく、10分程度の短い遊びを複数回繰り返すことで、猫は満足感を得やすいですよ。
6.発情のオスの本能
発情期のオス猫も甘噛みをする傾向があります。
これは「ネックグリップ」と呼ばれる行為。交尾の際にネス猫の首を掴んで抑えようとするオス猫の本能なのです。
発情期のオスは、メス猫だけでなく、飼い主や家具、おもちゃなどにも噛みつくことが多くなります。
叱ったりしつけたりして治る行為ではありませんが、去勢手術によって治ります。
甘噛みをやめさせたいからといって厳しく叱ることや、叩くような行為は絶対にNG。
かえって噛み癖が酷くなる可能性もありますので注意しましょう。
猫が噛みついてきたときの対処法
一度噛み癖がついてしまうと、治すことはとても難しくなります。
噛まれるようになってからしつけ直すのでは手遅れになる場合も。
普段から猫を噛ませないような環境を整えること、そして噛ませないようにコントロールすることがとても大切です。
ここでは猫が噛みついてきたときの3つの対処方法についてご紹介します。
しっかりと叱る
猫が噛みついてきたら「痛い」、「やめて」などと声かけをすることが大切です。
噛むことがいけない行為であることを大きく落ち着いた声で伝えましょう。
手を引っ込めると、手の動きにつられてさらに噛みつこうとするケースもあります。
そのため、噛みついてきたときは噛みつかれた状態のままグッと口の奥に押し込んでみるのもおすすめ。
そうすることでそれ以上噛むことができずに口を離すことがあります。
しかし、あまり力任せでやってしまうとケガにつながってしまいますので注意しましょう。
おもちゃで遊ぶ
手を使って遊ぶことで、手を遊び道具と勘違いしてしまう猫も多くいます。
猫が元々持つ狩猟本能を満たしてあげることは、飼い主だけでなく他の人や動物への危害を加えないためにとても重要なポイントです。
そのため、小さな頃から猫じゃらしなど猫用の噛むおもちゃを使って遊ぶ習慣を身につけましょう。
小さな頃に噛むことが遊びの一環だと覚えてしまうと、なかなか噛み癖は改善しません。
噛みたい衝動を遊びの中で発散させることで、大きくなってからの噛み癖が軽減されますよ。
一人遊びを覚えさせる
噛み癖をつけないため、そして改善するためには一人遊びを覚えさせることがとても大切です。
最近では一人遊び用のおもちゃが多く販売されています。
買ったおもちゃがなかなかハマらない場合やすぐに飽きてしまう場合も多いでしょう。
そんなときは、ご自宅にあるアイテムで手軽に作れるハンドメイドおもちゃはいかがでしょうか?
おすすめは、牛乳パックなどの紙パックに小さな穴をあけ、キャットフードを入れるだけの簡単なおもちゃ。
遊びながら食べることができるので、一石二鳥ですよ。
猫の歯石の原因と対処法
こちらの記事では、猫の歯石の原因と対処法ついてお伝えします。
猫の病気の一つとして恐れられている歯周病。
歯周病は猫が外科手術を受ける理由のトップになることもある病気の一つです。
そんな歯周病を予防するために、有効なのが猫の歯石取り。
そもそもなぜ歯石が付くのでしょうか? 歯石が付着することによってかかってしまう病気とは? そうならないためにはどうすればいい?
猫の歯石の原因と対処法について詳しく知りたい方は、是非こちらの記事を参考にしてみてください。
噛み癖に困ったら、プロや獣医に相談を!
猫の噛む理由と対処法についてお伝えしました。
可愛い猫もときには鋭い歯をむき出しにして、噛みついてくることも。
飼い主の立場としては「痛い!」と思わず怒ってしまいたくなりますが、そこはいったんストップ!
猫ちゃんは何かしらのストレスなどを抱えているかもしれません。
なぜ愛猫がこんなに噛みついてくるのか。心配な方は、プロや動物病院に相談するのも一つの方法ですよ。
きよかわ動物病院では、清潔な院内環境のもと、ペット一匹一匹に合った適切な処置を心がけております。
ペットの生活習慣や些細な悩みについての相談も受け付けておりますので、木更津のきよかわ動物病院へご連絡ください。
執筆者プロフィール
陣座 孝聡 / Takatoshi Zinza
獣医師 / きよかわ動物病院院長
- 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
略歴
- 2002年 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
- 2002~2005年 千葉県君津市内の病院にて勤務
- 2005~2014年 全国展開のグループ病院にて静岡、首都圏の病院を中心として合計3病院の分院長を務める。
- 2014年~ 千葉県木更津市にきよかわ動物病院を開業