犬の目の下が腫れている場合
2022/03/11
犬の目の下が腫れている……!
目がかゆそうで可哀相だし、どうすればいいの?? 急な愛犬の変化に戸惑いを覚えている人もいるでしょう。
犬の目の下の腫れは放って置くと大きな問題を引き起こすことも……!
そうならないためにも、この記事では、犬の目の下の腫れの原因や考えられる病気、対処法について紹介。
愛犬の目の異常を感じたら、すぐさま適切な方法で対処しましょう。
目次
犬の目の下が腫れる原因
犬の目の下が腫れている場合、何かしらの病気にかかっている可能性が高いです。
目の病気を治すには、早期発見が何よりも大事です。
異常を感じたら、すぐさま動物病院に連れて行きましょう。
犬の目の下が腫れている時に考えられる病気と治療法
犬の目の下が腫れている場合、何らかの病気の可能性が考えられます。そこで、目の下の腫れにつながるような代表的な病気と、症状、治療法についてご紹介します。
該当するものがないか確認してみてください。
眼瞼炎(がんけんえん)
眼瞼炎とは、まぶたの一部、または全体が赤くなったり、腫れあがったりしてしまう症状です。ウイルスなどの細菌感染や寄生虫感染による皮膚炎などが原因で発症します。
蚊に刺されてアレルギーを起こしたために眼瞼炎につながるケースもあるため、なかなか予防できません。
〇症状
まぶたの腫れのほか、まぶたが赤くなるなどの症状が現れます。普段の様子を確認してみると、目の周りをかく動作をすることも多いです。他にも、涙を流す、まぶたの毛が抜け落ちるなどの症状が現れます。
〇治療法
眼瞼炎の原因はさまざまであるため、原因に合わせた治療法が取られることになります。例えば、細菌感染が原因である場合は抗生剤が処方されますし、真菌汗腺が原因の場合は抗真菌薬の投与が必要です。
症状が治まるまでの間に目をかいてしまうと悪化しやすいため、エリザベスカラーをつけることもあります。
眼瞼腫瘍(がんけんしゅよう)
眼瞼腫瘍は、まぶたに発生する良性、または悪性の腫瘍です。
猫のまぶたにできる腫瘍は悪性のものが多いのですが、犬は良性ものものが多い特徴を持ちます。
〇症状
まぶたが一部膨らんでいてしこりがあり、気付くことが多いです。また、腫瘍が大きくなってしまった場合、まばたきをするたびに目に刺激を与え、目が傷ついてしまうこともあります。この刺激が原因で角膜炎や結膜炎、角膜潰瘍につながり、目の赤さや目やになどの症状が現れることもあります。
〇治療法
良性のものである場合、子犬の頃に手術をできればほとんど再発することはありません。
小さくてそれほど気にならないからと放置してしまうことがありますが、気づかないうちに大きくなることも多いです。早めに切除しましょう。
悪性だった場合、外科的切除以外の治療が必要になることもあります。
眼窩下膿瘍(がんかかのうよう)
デンタルケア不足で発生しやすいのが、眼窩下膿瘍です。口内が不衛生な状態になると歯垢が作られ、それが歯石に変化します。蓄積した歯石で細菌が繁殖すると歯槽膿漏になり、さらに症状が進行すると歯の奥に侵攻した細菌が膿を作るのが眼窩下膿瘍です。
〇症状
目の下が大きく腫れていることに気づき、慌てて受診する方が多いです。
腫れ以外にもよだれに血が混ざったり、口臭がひどくなったりして変化に気づく方もいます。
また、歯の奥に蓄積した膿が限界を迎えると皮膚を破り、目の下あたりから膿が出てくるケースも多いです。
〇治療法
原因は悪くなった歯にあるので、歯を抜く治療が一般的です。ただ、高齢で歯を抜くことに大きなリスクがある場合は抗生剤を用いた治療することもあります。
マイボーム腺炎
マイボーム腺炎とは、まぶたの裏にあるマイボーム腺が炎症を起こした状態です。特にアレルギー体質の犬が発症しやすく、「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」の2種類があります。
麦粒腫は、ものもらいのことであり、とくに若い犬に起こりやすいトラブルです。
霰粒腫は、マイボーム腺の詰まりが原因となり発症するもので慢性的な炎症が見られます。
〇症状
まぶたのあたりに小さなイボのようなものができます。他にも、まぶたの縁の辺りが赤く腫れてしまう症状も代表的です。
〇治療法
麦粒腫は感染症であるため、内服薬・点眼薬で治療するのが一般的です。
一方、霰粒腫については外科的な措置を取らなければならないケースもあります。
副鼻腔炎
副鼻腔炎とは、鼻の奥にある副鼻腔という骨で囲まれた副鼻腔内に炎症が起こる症状です。
症状が悪化した場合、蓄膿症につながってしまいます。
〇症状
もともと鼻炎の症状があり、それが長引いた場合に副鼻腔炎になることが多いです。くしゃみをしたり、粘り気のある膿を含んだ鼻汁が出たりすることもあります。
また、症状が悪化した場合には炎症がひどくなり、犬の鼻のあたりが熱を持ちます。呼吸しづらそうにしていることから異常に気づく飼い主も多いです。
〇治療法
それほど症状がひどくない場合は、内科的治療として抗生剤や消炎剤の投与が行われます。
蓄膿症まで症状が悪化した場合は鼻の皮膚を切開し、副鼻腔内の洗浄を行わなければなりません。
目の病気は早期発見が重要なため、不安に感じた飼い主の方は、ぜひ木更津市のきよかわ動物病院にご相談ください。
犬の目の下が腫れないための予防法
犬の目を下に腫れが発生しないようにするためには、原因に合わせた予防法の実践が重要です。
例えば、眼窩下膿瘍や副鼻腔炎が原因で目の下が腫れるのを防ぐためには、デンタルケアに力を入れましょう。
日々の歯磨きを丁寧に行う必要があります。
ただ、これまで歯磨きをしたことがない犬は嫌がってしまうでしょう。ストレスを与えないように慎重に取り組んでいくことが重要です。
眼瞼炎や麦粒腫については、残念ながら効果的な予防法は特にありません。
そのため、できる対策としては普段から犬の様子をよく確認し、眼瞼炎や麦粒腫と思われる症状があった場合はいち早く対処することです。
犬の目の下の腫れは突然現れるのではなく、何らかの病気や不調が悪化した場合に発生します。
犬は自ら不調を伝えられないので、いつもと違う様子がないかよく観察することが欠かせません。
注意深く観察していてもなかなか発見できないような病気もあるので、定期健診を受けるのもおすすめです。
関連記事>>犬の歯周病の原因や治療法、予防方法
犬の目が赤いときの原因・対処法
こちらの記事では、犬の目が赤く充血している原因や症状、病名、対処法について説明します。
犬の目が赤い……! 愛犬のいつもと違う様子に戸惑う飼い主さんも多いでしょう。
「なんかの病気ではないか? でも目が赤いだけで元気そう……」など対処法に困惑している人も少なくないと思います。
犬の目の充血について詳しく知りたい方は、是非こちらの記事を参考にしてみてください。
目の異常を発見したら、すぐさま動物病院を受診しよう
愛犬の目に腫れを見つけたらすぐさま動物病院に相談しましょう。
目の下の腫れは病気の可能性が高いです。
放って置くと、さらに状態が悪化するかもしれません。
愛犬の目に異常を感じたら、できるだけ早く獣医の指示を仰ぐようにしましょう。
きよかわ動物病院では、清潔な院内環境のもと、ペット一匹一匹に合った適切な処置を心がけております。
ペットの生活習慣や些細な悩みについての相談も受け付けておりますので、木更津のきよかわ動物病院へご連絡ください。
執筆者プロフィール
陣座 孝聡 / Takatoshi Zinza
獣医師 / きよかわ動物病院院長
- 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
略歴
- 2002年 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
- 2002~2005年 千葉県君津市内の病院にて勤務
- 2005~2014年 全国展開のグループ病院にて静岡、首都圏の病院を中心として合計3病院の分院長を務める。
- 2014年~ 千葉県木更津市にきよかわ動物病院を開業