猫の歩き方がおかしい場合
2022/02/12
猫の歩き方が「いつもと違う」と感じるのであれば、要注意です。
何となくおかしい気がするけれど、具体的にどこがいつもと違うのかよくわからない方のため、注意したい症状と原因を解説します。
目次
猫の歩き方がおかしいときの症状
猫が突然、片足を引きずっていたり、足をひょこひょことつかないようにして歩いたり、いつもより歩き方がぎこちなかったり、歩くスピードが明らかに遅かったりするなど、普段と異なる歩行をすることがあります。
ほかにも、かかとを床につけて歩く、関節が腫れているなどの症状が見られる際は、早めの受診を心がけましょう。
ちょっとしたことと思うかもしれませんが、思わぬ病気につながっている可能性があります。
また猫が痛がる仕草を見せたり、患部をなめたりしている場合、飼い主に「何とかしてほしい!」とアピールしていることも。
猫の様子を見て、気持ちをくみ取ってあげましょう。
猫の歩き方がおかしいときに考えられる原因
猫の歩き方がおかしい原因として、2つ考えられます。
1つ目は、足の骨折や脱臼といった怪我。
かばったような歩き方をする場合、高いところから落ちてしまったり、交通事故に遭ったり、ドアに挟まったりするなど、怪我の可能性が高いです。
ほかにも多頭飼いをしている場合、ケンカの最中に足を骨折してしまうことも。
単に爪の伸びすぎや軽い切り傷、トゲが足の裏に刺さっているなどの軽傷で歩きにくいことももちろん、あります。
2つ目は怪我以外の要因で、病気や腫瘍に伴う痛みなどです。
尿毒症や貧血、熱中症などにより、歩いているときによろけたり、ふらついたりしてしまいます。
ほかにも、変形性の骨関節炎による痛みや、腫瘍、栄養不足などが原因で、歩き方に異常をきたすこともあります。
猫の歩き方がおかしいときの症状と原因
猫の歩き方が「いつもと違う」と感じるのであれば、要注意です。
何となくおかしい気がするけれど、具体的にどこがいつもと違うのかよくわからない方のため、注意したい症状と原因を解説します。
ふらつく、よろける
まず注意したいのが、ふらついたり、よろけたりしていないかです。
この場合、病気や腫瘍に伴う痛みが関係している可能性が考えられます。
例えば、尿毒症や貧血、熱中症などです。他にも、変形性の骨関節炎による痛みや、腫瘍などが関係しているケースもあります。
栄養不足も歩き方に影響を与える原因の一つなので、最近しっかり栄養を取れているか?を考えてみてください。
歩くスピードが遅い
いつもスイスイ歩いていたのに、歩くのが遅くなった場合、ケガをしている可能性があります。
例えば、足やその他の部分をかばっている様子があり、歩くスピードが遅くなっているのであれば、ケガを疑いましょう。
歩くスピードが遅いだけでなく、他にも気になるポイントが見つかることがあるので、注意深く観察してみてください。
まっすぐ歩けない
歩き方がぎこちなく、まっすぐ歩けない場合、脳や神経に何らかの異常が発生している可能性があります。
歩き方がいつもと違うこと以外、見た目的に大きな変化がないことが多いため、注意が必要です。
他にも、ビタミンB・Aの欠乏によるもの、反対にビタミンAの過剰摂取によるものなども考えられます。
飼い主が見ていないところで有害なものを口にしてしまった可能性もあるので、詳細な検査をしてもらったほうが安心です。
足の裏がつかないように歩く
ひょこひょこと足の裏がつかないように歩いている場合、足の骨折や脱臼などの原因が考えられます。
高いところから落ちてしまった、交通事故に遭った、ドアに挟まったなどの理由が代表的です。
多頭飼いをしている場合は、喧嘩によって足をケガしてしまった可能性も考えてみてください。
ほかに、爪が伸びすぎている、足の裏を小さくケガしている、トゲがささっているなどの理由も考えられます。
原因がはっきりしない場合、放置するのではなく獣医に相談し、触診やレントゲン検査を受けたほうが良いです。
猫の歩き方がおかしいときに考えられる病気
猫の歩き方がおかしい場合、骨折、脱臼、骨関節炎などのほか、さまざまな病気の可能性が考えられます。
猫の症状からどのようなトラブルが起こっているのか判断したい方のため、代表的なケガや病気についてご紹介します。
捻挫
捻挫は、足を不自然にひねったなどの理由から関節の靱帯や腱、軟骨などを損傷してしまうトラブルをいいます。猫はとても身軽な生き物です。
しかし、うっかり着地に失敗した、ドアに挟まった、踏まれてしまったなどの理由から捻挫してしまうことがあります。
捻挫した場合、いつもとは少し歩き方がおかしくなってしまうことが多いです。
軽症であればほんの少しだけ気になる程度なので、放置してしまうこともあるでしょう。
ですが、捻挫した足をかばおうとさらなるケガにつながってしまう可能性があります。一度獣医に診てもらいましょう。
代表的な症状は、患部の腫れです。
触ってみると熱を持っていることもあり、痛みを感じるので触られるのを嫌がります。また、患部が赤くなっていることも多いです。
骨折や脱臼
捻挫と同じく、着地に失敗した場合などに発生しやすいのが、骨折や脱臼です。
骨折とは、漢字の通り骨が折れてしまうこと、脱臼とは骨が関節から外れてしまうことをいいます。
放置してしまった場合、骨などが変形したままで固定されてしまうことがあるので、注意が必要です。
特に猫が脱臼しやすいのは、股関節と尻尾部分です。
股関節部分を脱臼した場合、後ろ足をつかないように歩くことがあるので、見た目で変化を感じやすくなります。
また、尻尾を脱臼した場合はうまく排泄できなくなり、トイレ以外の場所で粗相することも多いです。
動くのを嫌がる、腫れているなどの場合は脱臼や骨折などを疑ってみてください。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、背中の骨と骨の間でクッションの役割を果たしている「椎間板」が変形し、飛び出てしまうトラブルです。飛び出した椎間板は神経に当たり、痛みを引き起こします。
場合によっては、動けなくなってしまうようなこともあるので、明らかに動きや歩き方がおかしいと感じた場合は要注意です。
大きな原因は肥満であるため、特に太っている場合はリスクが高くなってしまいます。
症状がひどくなると動けなくなったり麻痺につながったりすることもあるので、早期に外科手術などの治療を検討する必要もあります。
猫は犬に比べると椎間板ヘルニアの可能性は高くないのですが、まれなケースとはいえ歩き方がおかしい場合は注意したほうが良いです。
熱中症
暑い夏場に注意したいのが、熱中症です。
人間と同じく猫も熱中症になることがあり、気温が30度を超えるような日は特に注意が必要になります。
猫は人間とは違い、肉球と鼻でしか汗をかけず体温を思うように下げられません。
そのため、気温が上がり始める5月から秋頃までは十分に警戒が必要です。
夏場は常にエアコンをつける、冷却ジェルシートを置くなど猫がひんやり過ごせるような対策を取りましょう。
熱中症が原因でふらつきがあり、きちんと歩けないような場合は中度の症状だと判断できます。
この状態で放置するのは危険なので、すぐに獣医に相談しましょう。
さらに症状が悪化した場合、意識混濁、循環不全による臓器障害にがってしまう恐れもあります。
白内障・緑内障
白内障・緑内障などのトラブルがある場合、きちんと目の前が見えないのでふらつきなど、歩き方がおかしくなってしまうことがあります。
白内障とは、眼球内にある水晶体が変性することによって白くなる病気です。
目の外傷や、その他の目の病気が関係して発症することがあります。
目が白く見えるのが特徴で、つまずいたり、ものにぶつかったりすることがあるので気づきやすいです。
緑内障の場合は、眼圧が上昇することにより痛みや視覚喪失を引き起こします。
原因はぶどう膜炎などの眼科疾患です。黒目の大きさが左右で異なる、痛そうにしているなどの症状があります。
どちらの場合も内科治療や外科治療など選択肢があるので、獣医に相談してみてください。
中耳炎・内耳炎
鼓膜の奥にあり、振動を伝える役割を持っている「中耳」に炎症が起こるのが中耳炎です。
内耳炎とは、中耳より深くにあり、平衡感覚や聴覚などをつかさどっている「中耳」部分に炎症が起こるトラブルをいいます。
どちらも大きな原因は、細菌や真菌などによるものです。また、異物によって開く穴や腫瘍が関係しているケースもあります。
中耳炎の代表的の症状は、痛みや歩き方の変化です。回転するような歩き方になることもあります。
症状が悪化して内耳炎になった場合、平衡感覚が失われてしまうことからうまく立ったり、歩いたりできません。食欲不振などにつながることもあるため、炎症を抑えるための治療を受けましょう。
脳の病気
猫が注意すべき脳の病気としては、脳炎や脳腫瘍が挙げられます。
脳炎とは、脳に炎症が起こった状態です。原因としては非感染性のもののほか、ウイルスや細菌など感染性のものが挙げられます。
歩き方がおかしくなるほか、麻痺や首の傾き、痙攣などが見られることがあるため、気になる症状があればすぐに受診が必要です。
続いて脳腫瘍とは、脳または脳の周辺に腫瘍ができる病気のことをいいます。
高齢の猫のほうがリスクが高いとされているのですが、若齢の猫でも油断はできません。詳しい原因は不明です。
歩き方の変化の他、寝ていることが増える、食欲不振になるなどの症状が見られます。
いつもと違うと感じた場合は詳しい検査を受けてみてください。
動脈血栓症
血栓によって血流が止まり、筋障害や神経障害などにつながるのが動脈血栓症です。
多くのケースでは後ろ足の血管がわかれている部分で塞栓が起こり血流が止まってしまうため、後ろ足に異常が現れます。激しい痛みを伴うことから、叫び声を挙げることもある病気です。
後ろ足や前足が動かなくなるなどの症状があれば動脈血栓症を蓋が良い、早期に診察を受けましょう。
鎮痛剤の処方や血栓に対する治療が受けられます。
1度動脈血栓症を引き起こしたことがある猫は再度を症状が現れることもあるので、注意が必要です。
また、心筋症の合併症として動脈血栓症を引き起こすこともあります。
猫の歩き方がおかしいときの対処法
猫の歩き方がおかしいな、と思ったらすぐさま動物病院で診てもらいましょう。
怪我や病気かもしれません。
室内飼いであっても、高いところからジャンプして、着地に失敗しているなどさまざまな可能性があります。
ほかにも、有毒なものをなめてしまい、中毒症などの病気にかかっていることも。
元気や食欲がない場合は、特に早く病院に連れて行ってあげてください。
早く受診することで、重症化を防げる可能性が高まります。不安に感じた飼い主の方は、ぜひ木更津市きよかわ動物病院にご相談ください。
病院に症状を伝えるポイント
・真っすぐ歩くことが出来るか
・気づいたときにどんな歩き方をしていたのか
・下痢や熱などの症状はあるのか
他に気づいたことがあれば伝えてみましょう。
猫の病気を予防する方法
猫の病気についてご紹介しましたが、具体的な予防方法は各病気によって異なります。
ワクチンなどが存在している病気もあるので、そういったものはワクチンの注射についても検討してみてはいかがでしょうか。
また、自由に外を歩かせている猫の場合、飼い主が全くわからないところで感染症に感染したり、事故、ケガにつながったりしてしまう恐れもあります。
そのため、病気やケガのリスクを避けるためには、できるだけ室内で飼うのが理想的です。
歩き方がおかしい場合、何らかのケガ・病気の可能性があるので、放置はしないようにしましょう。
早期に症状に気づき、適切な対処することもそれ以上ケガや病気が進行してしまうのを予防する重要なポイントです。
猫の嚙み癖の直し方
こちらの記事では、猫が噛みつく理由などについてお伝えします。
可愛くてずっとかまってあげたくなる猫。
飼い主さんからしてみれば、愛情たっぷりに育てているはずなのに、なぜか急にがぶりと噛まれ「痛いっ!」という思いをしたことがある人もいるでしょう。
なぜ猫は噛みつくのか。噛みつかれたときの対処法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
迷ったら獣医に相談
猫の歩き方がおかしいときの対処法などは分かりましたか?
いつもと違う歩き方は怪我や病気のサイン!
気付いたら、できるだけ早く病院へと連れて行ってあげましょう。
きよかわ動物病院では、清潔な院内環境のもと、ペット一匹一匹に合った適切な処置を心がけております。
ペットの生活習慣や些細な悩みについての相談も受け付けておりますので、木更津のきよかわ動物病院へご連絡ください。
執筆者プロフィール
陣座 孝聡 / Takatoshi Zinza
獣医師 / きよかわ動物病院院長
- 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
略歴
- 2002年 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
- 2002~2005年 千葉県君津市内の病院にて勤務
- 2005~2014年 全国展開のグループ病院にて静岡、首都圏の病院を中心として合計3病院の分院長を務める。
- 2014年~ 千葉県木更津市にきよかわ動物病院を開業