猫の赤い目やにの原因・症状・治療法
2022/02/12
我が家の愛猫の眼がしらに赤い目やにが付いている。
見慣れないけど、大丈夫かしら……。何か病気にかかっているのでは??
そのような心配に駆られている飼い主さんもいると思います。
ここでは、猫の赤い目やにの原因や症状、対処法などについて解説。
猫ちゃんの目やにに気づいたら、問題ないかすぐさま確認してあげてくださいね。
目次
猫の目やにが赤い場合
猫の目やにが赤い場合、目に何らかのトラブルが起こっている可能性があります。よく観察し、適切な対応が必要です。
生理現象
猫も人と同様に生理現象によって目やにが発生します。そもそも目やにとは何かというと、目から出る分泌物の総称を言います。結膜から分泌された粘液や、まぶたの老廃物、血液の成分などがふくまれたものです。
猫の正常な目やにと異常な目やにの違い
生理現象によって発生した目やには少しだけ茶色っぽく、量は少ないです。一方、極端に多く発生しているせいで目が開かない、目が腫れている、膿が出ている場合、正常とはいえません。
明らかに異常であると判断できる場合は、早急に治療を受けなければならないこともあります。
猫の赤い目やにの原因
猫が赤い目やにを出す原因をお伝えします。
1.生理現象
目やにに粘着性がなく、少量が目の縁などに付く程度でしたら、それは健康な証拠。
目に付いたほこりや結膜などから粘液が分泌されており、生理現象の一つといえます。
2.目にケガを負っている
猫の目に傷がついていたり、目をよくこすったりしている場合は、血がにじんでいる可能性もあります。
病気ではありませんが、ケガの場合もすぐさま病院に連れて行きましょう。
3.病気を発症している
赤い目やにと一緒に膿が出てきていたり、左右の目の大きさに違いがあったりしたら、病気にかかっている可能性が出てきます。
目の病気だけでなく、ほかの病気の症状の一つとして赤い目やにが出ているかもしれません。
すぐさま獣医に診てもらいましょう。
猫の目やにの原因
目やには特に理由がなくても出るものです。ただ、風邪や角膜炎などの病気が関係しているケースもあります。
ほか、埃が多い場所を歩いた場合など、目の表面についた埃やゴミなどを取り除くために目やにが出ることも多いです。
猫の目やにが原因で考えられる病気
猫に赤い目やにが付いていたら、以下の症状が考えられます。
たとえどの症状に当てはまっていたとしても、まずは動物病院で診てもらいましょう。
早めの治療が大切です。
1.猫風邪
猫ヘルペスウイルスなどのウイルスや細菌の感染により、猫風邪を発症している可能性があります。
猫風邪はワクチンで予防できるため、できれば事前に接種しておきましょう。
猫風邪が発症したら、まず病院で診てもらうことが大切です。
動物病院で薬剤を処方されたら、用量・用法を守って投与しましょう。
2.角膜炎
角膜が炎症を起こした状態。
角膜炎の場合、目のなかをキレイに洗浄したあと、抗生剤などを点眼します。
早期発見することで、失明などの重症化を防ぐことができるので、早めに動物病院で診察を受けることが大切です。
病院では、点眼薬を処方されることが多いですが、目以外の治療が必要なときは、注射を打ったり、内服薬を使ったりすることもあります。
3.結膜炎
猫ヘルペスウイルスなどのウイルス感染や異物が目に入ることで、まぶたの裏側にある結膜に炎症を起こす病気。
生後間もない子猫が結膜炎にかかってしまうと、まぶたがくっついてしまったり、目の成長に異常が発生したりする可能性もあります。
もちろん成猫であっても、安心できません。
結膜炎を長期間放置したら、重篤化してしまい、失明にいたる可能性も出てきます。
結膜炎も薬剤を投与で治療することが多いです。
ワクチンで予防できるため、できる限り接種してあげましょう。
4.白内障
猫同士のケンカで目が傷ついたり、ブドウ膜炎など目の炎症が原因で、白内障を発症することもあります。
猫の目の状態や動きをよく観察し、早期発見することが大切です。
目やにだけでなく、猫の動きが鈍くなったり、壁にぶつかることが多くなったりしたら、白内障を疑いましょう。
初期の段階では内科的な治療法が用いられますが、完治させるには外科手術が求められます。
手術は手技が難しく、専門の器具や設備を用意しなくてはなりません。
そのため、動物病院によく相談する必要があります。
5.流涙症
流涙症とは、涙が止まらず、常に目から溢れているような症状のことをいいます。涙が通常以上に作られているケースのほか、うまく排泄されなくなっていることが原因です。
通常、作られた涙は涙点から鼻涙管を通って排出されるのですが、これがうまくできないと、涙を流し続ける流涙症につながってしまいます。鼻涙管部分に炎症が起こったり異物が詰まったりすることによって涙がきちんと流れなくなることも多いです。
原因に合わせた抗生剤の治療や、消炎剤の点眼治療などが行われます。
6.猫クラミジア
特に子猫が感染しやすく、目に症状が出やすいのが猫クラミジアです。クラミジアという細菌感染によって引き起こされる症状で、結膜炎を発症することがあります。
眼球周りにある結膜が充血して赤くなったり、腫れ上がったりする症状が代表的です。また、くしゃみや鼻水が出ることもあります。
感染を予防する目的のワクチンがあるので、接種についても検討してみると良いでしょう。治療は抗生剤の内服のほか、抗生剤の点眼などを行うことになります。
7.アレルギー
人間と同じく、猫もアレルギー反応によってくしゃみや鼻水、涙、目やになどの症状が起こることがあります。皮膚炎の症状が現れることもあります。
猫のアレルギーとして注意したいのはノミのほか、牛肉や鶏肉、卵、乳製品、穀類、などです。放置すると悪化してしまう可能性があるので、アレルギーが関係していると思われる皮膚炎が起こっている場合は早めに治療を受けましょう。
また、アレルギーの原因を特定し、対策を取ることも重要です。
猫の目やに症状別の対処法
目やにがどのような状況・状態で出ているのかに合わせて最適な対処法が変わります。
症状別の基本的な対処法についてご紹介するので、参考にしてみてください。
なお、自己判断が難しい場合は獣医に相談したほうが安心です。
目やにと一緒に目が充血している
目も充血しているような場合、結膜炎のほか、角膜炎、緑内障の可能性が考えられます。いずれも放置するのはおすすめできません。症状が悪化した場合、失明や視力低下の恐れもあるからです。
結膜炎や角膜炎については薬剤の投与などによって症状の改善が見込めます。緑内障の場合は内科治療のほか外科治療などの選択肢があるので、獣医に相談してみてください。
失明のリスクをできるだけ避けるためには早期の治療が理想的です。
目やにに色がついている
薄い茶色の場合にはそれほど心配する必要がないのですが、濃い茶色や赤、緑、黒である場合は注意が必要です。膿の可能性も考えられますし、ウイルス、または細菌に感染している可能性もあります。特に粘り気のある目やにが出た場合はなんらかの感染を疑いましょう。
代表的な感染症は、猫風邪や猫クラミジアです。これらの感染症は予防接種を受けることによって防げるので、心配な場合は予防接種しておくことをおすすめします。
目やにに血液が混ざっている
赤い目やにが出ている場合、血液が含まれている可能性も考えられます。目の周りをケガした際に血液の混ざった目やにが出ることがあります。
飼い主が気づかないうちにケガをしてしまう猫もいるため、血液が混ざっていることが確認できる場合は一度診察を受けることをおすすめします。
眼球を傷付けてしまった場合、失明の恐れもあるため放置しないようにしましょう。外側からでは見えない部分をケガしている可能性もゼロではありません。
目やにがゼリー状である
ゼリー状の目やにが出た場合、涙を流す役割を持っている鼻涙管が炎症を起こし、涙が目にとどまった状態になっていることが考えられます。通常、分泌されたばかりの涙は水と同様にサラサラしていますが、長く眼の表面にとどまっていると埃などがまざってゼリー状になります。
鼻涙管が炎症を起こしたり詰まったりしている場合、これを改善しなければ状態は良くなりません。診察を受け、適切な治療につなげてください。ゼリー状になった目やには自分では取りづらいので、拭き取ってあげましょう。
目やにで目が開かない
目やにが固まってしまい、目が開かなくなることがあります。子猫の場合、うまくグルーミングできないために目やにが溜まって目が開かなくなる事も多いです。同様にグルーミングが少なくなるシニアの猫も注意しましょう。
大人の猫で日常的に目が開かない状態になるほど目やにがたまる場合、感染症やまぶたの炎症などによって目やにの量が増え、それが固まってしまった可能性が高いです。獣医に相談しましょう。
目やにの症状が続く
目やにの症状が長く続く場合、その原因を特定したほうが良いので獣医に相談してみてください。
原因がわからないものの目やにの量が多い、色味が通常とは異なるなどあれば、何らかの病気の可能性も高いです。
目のトラブルということもあり、放置した場合には失明してしまうリスクについても考えなければなりません。原因を特定し、治療しましょう。
目の病気は早期発見が重要なため、不安に感じた飼い主の方は、ぜひ木更津市のきよかわ動物病院にご相談ください。
猫に目薬をさすときのコツ
猫に点眼薬をさすときのコツをお伝えします。
1.後ろから抱える
目薬をさすときは、猫を後ろから抱えてあげましょう。
利き手で点眼薬を持ち、もう片方の手であごを支えます。
少し上を向かせ、目薬を持った手の小指でまぶたをそっと開き、目薬をさします。
2.素早くさす
猫によっては目薬を嫌がることも。
猫はもともと長時間拘束されるのを嫌がる生き物です。
事前にふたを開けておくなど準備しておき、少しでも素早く点眼を済ませられるようにしましょう。
3.清潔なガーゼで拭く
目から目薬が溢れないように最後にガーゼで拭き取ります。目の周りはとても繊細であるため、ゴシゴシとこするのはNGです。雑にこすると目薬を嫌がるきっかけになる可能性もあるので、ガーゼを軽く押し付けて優しく拭きとりましょう。
猫の目が腫れている症状と原因
こちらの記事では、猫の目の腫れの症状と原因について説明します。
猫の目が腫れている。普段はそんなことしないのに、しきりに目をこすろうとしたり、目も充血したりしている……。
飼い猫にそんな症状が現れたら、不安になりますよね。
猫の目の腫れについて詳しく知りたい方は、是非こちらの記事を参考にしてみてください。
迷ったら獣医に相談しよう
猫に赤い目やにが付いていた場合、どうすればいいかをお伝えしました。
正常な目やにかもしれませんが、大量に出ていたり、目の充血などほかの症状も見られたりしたら、病気にかかっている可能性があります。
放置しておくと、失明してしまうことも。
気になることがあったら、すぐさま近くの動物病院に連れて行ってあげましょう。
きよかわ動物病院では、清潔な院内環境のもと、ペット一匹一匹に合った適切な処置を心がけております。
ペットの生活習慣や些細な悩みについての相談も受け付けておりますので、木更津のきよかわ動物病院へご連絡ください。
執筆者プロフィール
陣座 孝聡 / Takatoshi Zinza
獣医師 / きよかわ動物病院院長
- 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
略歴
- 2002年 北里大学 獣医畜産学部 獣医学科卒業
- 2002~2005年 千葉県君津市内の病院にて勤務
- 2005~2014年 全国展開のグループ病院にて静岡、首都圏の病院を中心として合計3病院の分院長を務める。
- 2014年~ 千葉県木更津市にきよかわ動物病院を開業